失職せり。

2003年11月1日
失職した。正確に言うと、文系だらけの家庭教師にいやけがさし、無謀と承知で、全件断わった。

テーマの性質上、少しく専門的な話が交じる。わずかな理系にしても、高三にもなって微分係数の意味と、それを発展させた導関数の意味をつかめぬ者ばかりだ。

こうなると仕方なしと思って、次の接線の傾きへと単元を移す。
ところがこれは教科書が悪い。

接線の傾きの出し方で終わっている。少し前までは「接線の方程式」という単元が独立していて、公式がきちんと明記されていた。

それでいて、今の問題集では当然の如く「接線の方程式を求めよ」などは、まだやさしい問題として出てくる。

いくら生徒がなまけものぞろいになったからといって、肝心の教科書がこれではさらに学力低下は悪化する。

教科書の不足分を説明で補おうとすると、「どうでもいいから、やり方だけ教えてくれ」と訴える生意気ばかりだから、仕方なく教えるが、根本の微分係数がわかっていないから、応用問題になるたび、いちいちつまずく。

しまいには「わからない」といらだつ。こちらも既にいらだちをこらえているから、いよいよこれまでと、全員の指導を辞退した。

情けないが50年配で、パラサイトシングルだ。両親の年金のおかげで生活をしのいでいる。

もう教授業をやめようかとも思うが、とりえはこれ一つしかない。
次なる家庭教師依頼を待つしかない。
だが、因果はめぐる小車という。わがまま言ってる高校生どもは、とりあえず卒業すればアルバイトなどで食えるかもしれぬ。

だが大所高所から見ると、個々人の一時しのぎは可能でも、いずれ国家が危うくなるはずだ。
先進各国の教育レベルは今や日本を抜いて、なお子弟の厳しい教育に力を入れているという。

私はやり残したことはほぼないが、10年、20年先の日本はダメになっているおそれを感ずる。

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